仮面ライダーウィザード(2012-2013)
「あの人、マジメで良い人だけどつまんないのよね」という、
女子の気持ちがわかる作品。
「凡作」という言葉がこれほどまでに似合う作品も珍しい。
主人公も好感度高いし、モチーフも「魔法」で一貫しているし、
話も破綻していないし、ヒロインもライダー屈指のかわいさだしと、
良いところは一杯あるのに、総合して見ると、どうも面白くない・・・。
その理由は、おそらく3つ。
まず主人公、晴人。
仲間想いの良い奴だし、決めるところは決めるで不快感ゼロだけど、
前任者が「自分を殺した相手すら友達になろうとする」フリークスだったり、
前々任者が「明日のパンツさえあれば何もいらない」フリークスだったりする中、
晴人は「ドーナツが好き」ぐらいの個性しかなく、どうしてもインパクト不足。
「こいつさえ見てれば楽しい」作品にはならなかった。
2つ目は、二号ライダーの不発。
だいたい近年のライダーは、
「序盤で主人公と敵側の事情を一通り語って、
マンネリしてきたところで二号ライダーを登場させる」
というパターンが多い。
オーズも、「どうせ後藤だろ」という大方の予想を裏切り、
いきなり謎のヒゲマッチョ伊達さんがバースとして登場し、
そのワイルドな大人の魅力でしばらく話を引っ張ってくれたし、
フォーゼも、「裏の顔を持ってライダー部に入った」メテオ登場で、
「いつ正体がライダー部にバレるんだろう」、
「その前に何かやらかすのでは?」という緊張感が加わった。
ところがこのウィザードの二号ライダー・ビースト。
風来坊・仁藤が冒険してたら、たまたま変身するハメになったという、
本筋と全く絡みがない設定のせいで、敵との間に何の因縁もなし。
敵側も「何でお前が?」ぐらいの扱いなので、
到底、話を牽引する材料にはなってくれません。
正直、ラスト以外いらなかっただろ。
瞬平が変身とかでも全然良かったと思うし。
3つ目は、というかほぼこれだけで良い気がしてきましたが、
とにかく地味。
話も地味だし味方も敵も地味。
不死の敵を太陽まで飛ばすという離れ業を見せたり、(オールドラゴン)
ヒロインの危機を前に失った力を取り戻す(インフィニティー)とか、
ところどころ熱い展開はあるんですが、
ラストの「実は今までのことは全部、魔法使いを集めるための茶番でした」という展開を、
黒幕が本当にラスト近くまで明かさなかった+味方も敵も知らないせいで、
双方「とりあえず戦う」しかなく、展開が死ぬほどマンネリ。
マンネリ展開を地味なキャラたちが淡々と進めていけば、
そりゃ凡作にしかならないよな、というある種の好例。
ただまあ、子供向けって本来これぐらいで良いのかもしれませんね。
オレも子供がいたら、まずウィザード見せると思うもの。
ただ途中で「つまんない」って言われたら、龍騎とか見せるかなあ。
総評:C-